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トッテナムは、2021/22シーズン開幕当初は前ウルブス監督のヌーノ・エスピリト・サントを監督に迎えたが、ヌーノはファンとチームの上層部の期待に答えるプレーができず、10月の段階で優勝の望みが消えて、必須でもあったUEFAチャンピオンズリーグの出場権獲得にも黄色信号が灯り、21年11月1日にシーズン序盤で早々に解任となった。

その後任として、世界的監督のアントニオ・コンテ監督[Antonio Conte]が、22年11月2日にトッテナム・ホットスパー[Tottenham Hotspur]の監督に就任した。


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契約期間は、延長オプションが付随した2023年6月30日までの契約となる。

ヌーノから変わって数ヶ月の間にチームは劇的な変化を遂げ、一時は絶望的とも思われたCLの出場権獲得も可能なレベルにまで立て直した。

アントニオ・コンテは、言わずとしれた世界トップレベルも監督の1人で、ユベントスでの成功を筆頭に、チェルシー、最近では昨シーズンにインテルをセリエA優勝に導いている。

元々、選手としてユベントスとイタリア代表で活躍し、監督としてもビッククラブで成果を出し続けており、トッテナムの監督となる前は、レアル・マドリードやパリ・マドリードなど、空席がある世界のビッククラブの監督候補に必ずといっていいほど名前が上がっていた監督でもある。

今回はそのトッテナム監督のアントニオ・コンテの監督としての特徴やシステムを等について解説する。

コンテ監督の選手としての経歴

期間クラブ出場得点
1985-1991レッチェ711
1991-2004ユヴェントス29629

トッテナム歴代監督成績

名前就任退任試合勝率
アントニオ・コンテ2021/11/2就任中24146458.33%
ヌーノ・エスピーリト・サント2021/6/302021/10/311050550%
ライアン・メイソン 2021/4/192021/6/30740357.14%
ジョゼ・モウリーニョ 2019/11/202021/4/198644192351.16%
マウリシオ・ポチェッティーノ2014/5/172019/11/19293159627254.27%
ティム・シャーウッド2013/12/172013/5/13281441050%
アンドレ・ヴィラス・ボアス2012/2/72013/12/168044201655%
ハリー・レドナップ2008/10/262012/6/1419898505049.49%
ファンデ・ラモス2007/10/272008/10/255421161738.89%
マルティン・ヨル2004/11/52007/10/2514867384345.27%

トッテナム監督のアントニオ・コンテはどんなタイプの監督なのか? -「毒ヘビ」と言われた男-

現在トッテナムで監督をしているコンテは、そのモチベーターとしての能力とマンマネージメント能力の高さで高く評価されている監督であるが、合わせて選手に常に100%の力を出すことを求め、選手に厳しい監督としてもよく知られている。

試合中も常にタッチライン際にいて、選手たちに大声で指示を出しているのも彼の特徴を表す、よく知られた光景である。

こういったスタイルは批判もあるが、実際アントニオ・コンテは、数多くの選手の能力を高めていき、平凡に終わっていたかもしれない選手に高いレベルのプレーをさせることを可能にしてきた。

典型的なところだと、エマヌエレ・ジャッケリーニ[Emanuele Giaccherini]やエデル[Eder]、グラツィアーノ・ペッレ[Graziano Pelle]、ビクター・モーゼス[Victor Moses]、マルコス・アロンソ[Marcos Alonso]などが、コンテ監督の恩恵を特に受けた選手達である。

ユベントスで彼の元でブレーしたアンドレア・ピルロ[Andrea Pirlo]も、コンテの激しさをこう表現している。

「選手やユベントスを征服するのに1度の簡単なスピーチで十分だったよ。彼の静脈には炎が流れていて、まるで毒ヘビのようだったよ。」

「彼がしゃべると、彼の言葉が襲ってきて、心のドアをぶち破ってくる感じだったよ」

コンテは、ワーカホリックとしても知られ、激しいトレーニングで、選手を鍛え上げることで、彼らのフィジカルコンデションを上げていくことでも知られている。

そのような激しい性格が問題を起こすこともあり、選手やクラブ関係者との衝突が報じられることも多く、有名なところだと、チェルシー時代のディエゴ・コスタや、ユベントスやチェルシーの上層部との軋轢が良く知られている。結局、優勝の立役者でもあったディエゴ・コスタは戦力外となってしまい(スマホのショートメッセージで、コスタに戦力外の連絡を入れたことも話題になった)、チェルシーとは法廷闘争にまで発展することになった。

サッカースタイルでいうと、選手が状況の応じた細かい対応ができるように、後述するように万事に詳細にこだわる監督としても知られている。そのため、選手達にも指示に厳密に従うことを求めている。

数年前の話だが、インタビューの中で冗談で、「態度の悪い選手がいれば、"殺してやる"つもりだよ。自分のチームに入れるくらいなら(笑)」とすら言っている。

「監督が、周りに気を使って、やるべきことができなくなったら、選手の統制に失敗するよ。」

このようなマンマネージメント術は、コンテがユベントスやイタリア代表でプレイしていた時に彼の師ともいえる存在であったジオバンニ・トラパットーニの影響が大きいと言われている。

実際、トラパットーニとの類似点を聞かれた時に、

「直接、率直に物事を話すことかな」と答えつつ、「トラパットーニも"心地よい嘘"よりも、"不都合な真実"を話していたよ。私もそういうタイプの監督なんだ。選手をからかったりすることも嫌いだよ。僕が選手だったころに一番嫌いだったことだから。いつも率直で、直接的なコミュニケーションを大事してきたよ。」

こういった「尖った」マンマネージメント面で名を馳せるばかりでなく、彼は世界でも有数の戦術家としても高く評価されている。

アントニオ・コンテの監督としてのプレースタイル

監督、コーチとしてのコンテを指してよくいわれるのが、精緻な戦術に裏打ちされたプレースタイルであり、ユベントス、チェルシー、インテル、またイタリア代表監督としてのキャリアの中で、その能力を証明してきた。

そのスタイルは、あらゆることを正確に、細かく追いかけていくことに特徴があり、以前コンテの元でプレーしていたエデン・アザール[Eden Hazard]なども、

「コンテになって、戦術面でもトレーニング面でもやることがすごい増えたよ。戦術的なポジショニングでもいろんなことを確認していくので、僕たちはピッチ上でどこに行って、何をすべきかとかがわかるようになるんだ。」

と語っている。

また、アントニオ・コンテのチームを指してよく言われるのが、インテンシティが高く、カウンターアタックを得意とするチームということである。確かに彼はカウンターアタックを使うけれども、それは決して彼のチームが守備的であるということではない。(そういう批判もあるのだが。)

実際、スパーズ監督就任時のインタビューでも、

「勝つためにハードワークしつつ、魅力的なサッカーをしていきたい」

「私の監督としての哲学はシンプルで、ファンのために魅力的なサッカーをすること、安定したチームをつくること、」

などと語っている。

トッテナム監督のアントニオ・コンテの基本戦術

彼が好む戦術は、3人のDF,2人のウィングバックがいて、真ん中にいる運動量豊富な2人のMFが守備のサポートと攻撃へのつなぎをして、3トップのうち、一般的なウィンガーよりも中に寄った左右のフォワード(WG)が2枚いて、前線にセンターフォワード(FW)を1枚建てる形が基本形である。

攻撃時には、ウィングバックが前にでて、相手側のサイドバックにプレッシャーをかける。守備時には、ウィングバックは下におりて、センターバックと連携し5バックの形をとる。

コンテのチームは、ポゼッションしている時のビルドアップは、ダイレクトプレイで素早くフォワードや左右のウィンガーにパスを出す傾向がある。

一方で、コンテは相手チームごとにアプローチを調整することにも長けており、試合中でも相手チームの強みや弱みを把握しながら、戦術を調整することもできる。

「最初に考えるのは、チームのバランスを保つことなんだ。」

「(自分たちの)攻撃を抑えるということではなくて、状況の応じた守り方をすることが大事なんだよ」

トッテナム監督のアントニオ・コンテのフォーメーション

トッテナムのフォーメーション解説

スパーズの監督になる前は、おもに3-5-2を好んで使っており、コンテといえば、3バックの中興の祖のように語られる事が多いが、元々4-2-4フォーメーションを好んで使っており、バリ時代に成功を収めていた。

ユベントスの監督になった当初も4バックで挑んだがうまく機能せず、3-5-2にスイッチし、そこから彼のサクセスストーリーが始まっていく。実はチェルシー時代も当初は、4バックで望んでいたが、これもうまくいかず、3バックにして、そこからチェルシーの快進撃が始まっている。

コンテのインテル時代のフォーメーション

トッテナムの監督になる直前のインテルのヘッドコーチ時代には、3-5-2をつかって、ロメロ・ルカクとラウタロ・マルティネスを前線に配置し、クリスティアン・エリクセンとマルセロ・ブロゾビッチにサポートさせる形で、2020/21シーズンにインテルに久しぶりのスクデットをもたらした。

この時のインテルは、セリエAで最も硬い守備とアタランタに次ぐ攻撃力を兼ね備えるチームであった。

コンテのチェルシー時代のフォーメーション

チェルシー時代は、同じく3バックであるが、エデン・アザールやペドロをウィンガーに配置した形である3-4-3や3-4-2-1をベースとしていた。先述のように当初4-2-4フォーメーションを採用していたが、結果を出せず、アーセナルに大敗した後、戦術マスターたるコンテの本領を発揮し、チームに調整を加えて、3-4-3にスイッチし、以後チェルシーの快走がが始まった。結局、クロップやグアルディオラでもできなかった就任初年度でのプレミアリーグ優勝となる快挙を、このフォーメーションで成し遂げた。

「(当初)いくつかの要因で、失点数もチャンスを作られる回数も相手よりも多くて、チームが良いバランスではなかったんだ。そのため、新しいシステムである3-4-3にスィッチしたんだ。このシステムに適したストライカーがいたこともあって、チームにうまくフィットして、おかげて、攻撃面のみならず守備面も改善されていったと思っているよ。」

ユベントス時代のフォーメーション

ユベントス時代の3バックは、彼がユベントスでの3シーズンを通して使われていたもので、これでのちの彼の評価の礎ともなる素晴らしいチームを作り上げたが、そのチームの土台となったのは、アンドレア・バルザーリとレオナルド・ボヌッチ、ジオルジオ・キエッリーニの3名のバックラインであった。

このフォーメーションは、その次のイタリア代表や、スパーズの監督になる前に所属していたインテルでも使っていたフォーメーションでもある。

トッテナム監督アントニオ・コンテのユベントス時代のフォーメーション

監督としてのコンテを批判する人の中には、戦術的に厳格すぎて、柔軟性にかける3バックになっていると言う人達もいる。これが彼が国内のリーグ戦は強いが、チャンピオンズリーグで優勝できない理由ともいわれており、あわせて選手のローテーションが少なく、プランBがなくて、選手交代に至るまでに時間をかけすぎるなどの批判もある。

ローテーションがない、ブランBをあまりみられないなどは、現在のトッテナム監督としてのコンテにもよくみられる光景でもある。

トッテナムの監督になるまでに彼が率いてきたチーム

コンテは、トッテナムの監督になる前に計8チームの監督を努めてきた。

チーム就任退任勝率
トッテナム・ホットスパーENG2021-11-2-24144650232758.33%
インテルITA2019-5-312021-5-2610264231521410211262.75%
チェルシーENG2016-7-32018-7-1310669172021210211065.09%
イタリア代表ITA2014-8-142016-7-225147434211356%
ユヴェントスITA2011-5-222014-7-15151102341528010117967.55%
シエナITA2010-7-12011-5-21442214871383350%
アタランタITA2009-9-212010-1-7143471421−721.43%
バーリITA2007-12-272009-6-236732201598633547.76%
アレッツォITA2007-3-132007-6-12158342217553.33%
アレッツォITA2006-7-12006-10-3112174410−68.33%

最初は、アレッツォで、2006/07シーズンの間に2回に渡って監督を努めている。途中で解任され、その後復帰したが、結局チームのセリエC1への降格を止めることはできなかった。

次の仕事はバリで、ここで大きな成功を収める。クラブが降格争いをしている中で就任をし、結果最初のフルシーズンでセリエBチャンピオンとなり、セリエAへの昇格を成し遂げた。シーズン終了後にクラブを離れている。

その後、2009/10シーズンにアタランタの監督となったが、チームが降格圏に沈み、サポーターグループとの衝突などもあり、シーズン半ばで辞任している。

その後、シエナの監督となり、チームをセリエA昇格に導き、結果3シーズンのうちに2回のセリエA昇格を成し遂げたことで、ユベントスの監督になるきっかけとなった。

その当時は、数シーズンに渡って不調にあえいでいたユベントスであったが、その後、3シーズン連続で優勝を果たしたのはよく知られている通りである。

その後、チームとの関係悪化の中、ユベントスからイタリア代表監督となった。その当時のイタリア代表は、近年にない弱いチームと言われていたが、彼らをユーロ16でベスト8まで導いた。

その後、チェルシーの監督として2シーズンを過ごし、初年度にプレミアリーグ優勝、次の年にはFAカップ優勝の実績を残したが、ここでもチームとの関係悪化から、2018年に解任され、1年間の浪人期間をへて、2019年にインテルでセリエAに復帰することになった。

ここでも初年度にヨーロッパリーグの決勝に進出し、2年目に実に11年ぶりにインテルをセリエAに導くなど大きな成果をあげたが、2021年に突如チームを離れてしまった。

そして、2021年11月、数ヶ月の空白期間をへて、ヌーノ・エスピリント・サントの代役として、トッテナム・ホットスパーの監督に就任することになった。

監督としてコンテがあげた成果

監督として、ユベントスで1つ、インテルで1つの計4つのセリエAタイトル、2回のイタリアスーパーカップ優勝、バリではセリエBタイトルを、国外ではプレミアリーグ1回、FAカップ1回という計9つのタイトルを上げてきた。

ヨーロッパリーグ(EL)で決勝まで上がったことはあるが決勝戦で敗退しており、UEFAチャンピオンズリーグリーグなどの主要なヨーロッパのカップ戦で勝てていないのが、彼のウィークポイント、批判されるポイントになっている。実際、スパーズ監督就任後、すでに数試合消化後であったが、ヨーロッパカンファレンスリーグもグループステージで敗退している。

現在、トッテナムは、5位だが、彼の就任後の勝率は、58.33%で、まだシーズンが終了していない状況であるが、ここ数年の監督の中では最高勝率になっている。

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プレミアリーグ 最新順位

順位チーム名勝点得点失点
1マンチェスターC86352753892168
2リバプール83352582872364
3チェルシー673519106703139
4アーセナル663521311564214
5トッテナム623519511604020
6マンチェスターU583716101157561
7ウェストハム553616713574611
8ウルブス50351551535341
9ブライトン47361114113842-4
10クリスタル・パレス443510141146424
11アストン・ヴィラ43341341747470
12ブレントフォード4336127174452-8
13ニューカッスル43361110154061-21
14レスター4234119144956-7
15サウザンプトン4036913144161-20
16エバートン3534105193756-19
17バーンリー3435713153249-17
18リーズ3435810173974-35
19ワトフォード223564253270-38
20ノリッジ213556242275-53