21/22シーズンも終盤になり、22/23シーズンに向けて、プレミアリーグも各クラブでも選手補強に向けての動きもすでに始まっている。
トッテナムの移籍戦略を担うマネージングディレクター、ファビオ・パラティッチが、トッテナムのアントニオ・コンテ監督と連携しながら狙っている彼らの優先エリアは、左のセンターバックだという。今回はThe Atheticsのの記事を参考彼らがターゲットにしている左CB候補の特徴、スキルを紹介する。
よく知られているようにコンテは、シーズンのほとんどを3バックで戦っている。今シーズンは、ベン・デイビスが左センターバックをつとめており、現時点まで良いパフォーマンスを続けているが。来シーズンに向け、このポジションの競争相手を獲得したいとおもっているようだ。
実は、コンテが監督になる前からこのポジションは、優先事項となっており、パラティッチは、実際にビジャレアルのパウ・トーレスの獲得に動いたが、トーレスに断られ破談とまったため、現在新しい獲得リストの作成に動いている。
そのリストのトップを占めるのは、RBライプツィヒのヨシュコ・バルディオルとインテルのアレッサンドロ・バストーニの2人である。
しかし彼らを獲得するには、今シーズンの夏にクリスティアン・ロメロに投じた4,200万ポンドが最低でも必要だと言われている。
ここでは、彼ら2人を含めた4人の獲得候補の特徴を、The Athleticsがsmartscoutという、選手の能力を実際のプレイデータに基づいて数値化しているサービスをもとに、まとめたものを紹介していきたい。
ヨシュコ・バルディオル(RBライプツィヒ)
名前 | ヨシュコ・バルディオル Josko Gvardiol |
所属 | RBライプツィヒ |
ポジション | CB |
生年月日 | 2002/1/23 |
身長 | 185cm |
国籍 | クロアチア |
利き足 | 左 |
前所属 | ディナモ・ザグレブ |
現在20歳のバルディオルは、クロアチア代表でもあり、ヨーロッパの主要リーグへの加入1年目にもかかわらず、すでにヨーロッパでもっとも注目される若手DFの1人になっている。
クロアチアのディナモ・ザグレブ出身の彼は、19/20シーズンにファーストチームデビューして早々に、ヨーロッパの主要クラブからも注目される存在になった。実際、マルセロ・ビエルサが指揮していたリーズが獲得に動き、実際に契約寸前までいったことをバルディオル自身が認めている。
この時、有望な若手の先物買いで評価の高いライプツィヒからもオファーがあり、ライプツィヒからは、20/21シーズンをローンバックでディナモ・ザグレブに残ることを提案され、ライプツィヒへの移籍を決めたという。
昨年夏にクロアチア代表デビューも果たし、ユーロでも4試合に出場している。その時は左サイドバックとして起用されているが、ライプツィヒでは3バックの左をつとめており、スパーズのもとめるところと一致している。
ライプツィヒでは、すでにチームの中核となっており、クリストファー・エンクンクとペーテル・グラーチに次ぐ、2,107分の出場時間を記録しており、トッテナムが獲得をねらうのであれば、彼らのクラブレコードになる移籍金が必要になるだろう。
バルディオルのスキル
バルディオルは、ディフェンダーとしては足元のスキルが高く、90分で平均79.4回のパスを出しているが、これはブンデスリーガの上位8%に入る。smartscoutのスコアでみても、ディフェンダーとして、ドリブルでボールを前に運ぶ能力に長けており72のスコアをもっている。
(smartscoutのスコアは、様々なスキルを最高99点で点数付けしており、50が平均的で、それ以上になると平均よりすぐれていることになる)
また、10m以上の前へのパスの数も多く、smartscoutのスコアは63であり、パスによる得点機会創出のスコアも79と高いスコアを持っている。
ディフェンス面でみると、ライプツィヒの選手らしく、ボールが奪われた後の激しいプレスに特徴があり、インテンシティに非常に高い数字を見せており、99点となっている。インターセプトの能力も高く79で、ゲームを読む力も優れていることがわかる。
一方で空中戦が苦手で、展開の中でのヘディングのスコアは11、セットプレーでのヘディングは8である。
アレッサンドロ・バストーニ(インテル)
名前 | アレッサンドロ・バストーニ Alessandro BASTONI |
所属 | インテル |
ポジション | CB |
生年月日 | 1999/4/13 |
身長 | 190 cm |
国籍 | イタリア |
利き足 | 左足 |
前所属 | アタランタ |
バルディオルと並んで、スパーズが狙っているのが、コンテとも仕事をしたことがあるバストーニである。
コンテが、2019年にインテルにきた時、バストーニは20歳で、ファーストチームでのプレイ経験がなく、その前年はパルマにローンにでていたが、コンテはバストーニをチームに組み込み、バストーニは、19/20シーズンをインテルでコンテとともに過ごし、コンテのことを"コーチ界のメッシ"、"素晴らしいサッカーのアイデアをもっている"と称賛している。19年12月まではレギュラーでなかかったが、次第にチームに組み込まれていき、先発を21試合つとめている。
インテルでは、ステファン・デ・フライとミラン・シュクリニアルと並んで、スパーズが求めている左センターバックをつとめており、ヨーロッパリーグ決勝にも出場している。
昨シーズンも、バストーニはインテルの中心となり、リーグ戦33試合に出場し、インテルの優勝に大きな貢献をした。監督がシモーネ・インザーギに変わった今シーズンも引き続き中心として戦っている。
バストーニのスキル
バストーニは、バルディオルのように、ボールの扱いが巧みで、90分で平均70.9回パスを出しており、これはセリアAのセンターバックで、トップ5%に入る。ボール保持もsmartscoutのスコアで86でこれはバルディオルの66よりも高い。(ただし、前へのパスのスコアは高くなく、11である)
バストーニは、短い距離でのつなぎのパスに特徴があり、スコアは84であり(バルディオルは46)、ボール扱いの巧みなDFであることがわかる。
ディフェンス面でみると、バルディオルと同様にインテンシティが高く、スコアは94である。ヘディングに関してもバルディオルと似ており、あまり得意としておらず、展開の中でのヘディングのスコアは23で、セットプレイは38である。
22歳であるバストーニは、インテルが今後もチームの中心として考えている選手で、インテルも売却の意向は無いと思われるが、金欠のインテルに対し、5,000万前後のオファーがあれば可能性はあるかもしれない。
上記2人がスパーズの獲得最有力候補と言われているが、彼らが獲得出来なかった場合の候補の紹介しておこう。
スフェン・ボットマン(リール)
名前 | スフェン・ボットマン Sven Botman |
所属 | リール |
ポジション | CB |
生年月日 | 2000/1/12 |
身長 | 193cm |
国籍 | オランダ |
利き足 | 左足 |
前所属 | ヘーレンフェーン |
ボットマンは、22年の冬の移籍でニューカッスルも獲得を狙ったことで知られている。
彼自身は、将来のプレミアリーグでのプレイを熱望しているようで、The Athleticのインタビューで、"プレミアのサッカーが好きで、自分にあっている"などと述べている。
ボットマンのスキル
ボットマンは、、バルディオルやバストーニとくらべ、インテンシティは高くなく、スコアは38である。それ以外のディフェンス面のスキルスコアも2人と比べると見劣りするものが多く、タックルやブロック、クリアなどで相手の攻撃を防ぐスコアも14となっている。
バルディオルとバストーニは空中戦を苦手だったが、ボットマンは、2人にくらべフィジカルが強く、空中戦も比較的得意としており、スコアも高い。
フィジカルを生かしたディフェンスに特徴があり、本人も、"自分は背が高くて大きいので、ストライカーとやり合うのが好きなんだ"と述べており、The Atheleticsのインタビューでも、インスピレーションを受ける選手として、ファン・ダイクやロメロを上げている。
ボットマンは、前の2人とくらべると伝統的なディフェンダーともいえ、4-2-2や4-2-3-1でのプレイが多く、3バックでの経験は少ない。
すでに復数のクラブが注目しており、特にミランはすでに交渉を進めていると言われている
ニコ・シュロッターベック (フライブルグ)
名前 | ニコ・シュロッターベック Nico Schlotterbeck |
所属 | フライブルグ |
ポジション | CB |
生年月日 | 1999/12/1 |
身長 | 191cm |
国籍 | ドイツ |
利き足 | 左足 |
前所属 | ウニオン・ベルリン |
昨シーズン、ユニオン・ベルリンにローンにだされていたシュロッターベックは、今シーズン、チームのレギュラーとして定着したばかりににも関わらず、ほとんどのブンデスリーガの試合に出場しており、現在5位に位置し、来季ヨーロッパを目指すチームの中心として活躍している。
すでにヨーロッパで注目される存在となっており、ドイツ代表としてもデビューを飾っている。
シュロッターベックのスキル
シュロッターベックは、バルディオルとバストーニと似たタイプの選手で、インテンシティが高く(スコア96)、相手の前進を防ぎ、攻守を反転させるディフェンス面でのスキルも高い(81)。その他、ボール奪取やインターセプトのスコアも77で、4人の中で、ディフェンス面でのバランスの良さが目立つ。
足元でのボール保持のスコアが33と低いが、ドルブルなどでボールを前に運ぶスキルは高く、84で、後ろから積極的に前にボールを運ぶ選手であることがわかる。
また攻撃力も高く、シュートからの得点機会の創出(92)やボールを前に運んだことでの得点機会の創出(84)などは、4人の中でトップのパフォーマンスである。この辺は、かれが空中戦につよいことも影響している(67)。実際、シュロッターベックは4ゴールを上げている。
フライブルでは、3バックと4バックの経験もあり、トッテナムにも馴染むのは可能だろうが、すでにバイエルン・ミュンヘンやボルシア・ドルトムントなどが彼を狙っているといわれ、獲得するには彼らとの争いに勝たなければいけない。