"なんてフットボーラーなんだ!" 【ユルゲン・クロップ】
"リーグでベストの一人だ" 【ペップ・グアルディオラ】
"(すごいのは)彼の創造性だよ" 【ジョゼ・モウリーニョ】
"彼のパーソナリティだね" 【ミケル・アルテタ】
今シーズン、アストン・ヴィラのジャック・グリーリッシュに対する賞賛がプレミアリーグ全体から聞こえてくるようになった。元々、前回の降格した時から評価が高かった選手ではあるが、今シーズン、ワンランク上の選手になったというのがリーグ全体での評価になるだろう。
ブレンダン・ロジャーズやオーレ・グンナー・スールシャールなどは、グリーリッシュの相手ディフェンダーをポジションから引き離す能力を高く評価している。グリーリッシュが特別な選手であることはプレミアリーグの監督の中で一致した考えのようだが、その評価するポイントが様々なのが興味深い。
20/21シーズン11月のインターナショナルブレイクの期間にSky Sporsがジャック・グリーリッシュがなぜこれほどまでにプレミアリーグ内で評価をされる選手となったのか、そのパフォーマンスを様々な数字をもとに紹介しており、イングランド代表にも欠かせない人物であると結論づけている。
今回はそのSky Sportsの記事をもとに、なぜグリーリッシュが特別な選手として評価を高めているのか、数字面から紹介していきたい。※紹介する数字は、すべて11月のインターナショナルブレイクの直後
ボールを持ち続けるグリーリッシュのプレイスタイル
"グリーリッシュはボールを持ちすぎる"というのは、彼を批判する時に良く聞かれる言葉である。しかしながら、それは的を得た批判なのか。ボールを長くもったグリーリッシュがどういった結果をもたらしたのを正確に把握ししたうえで、そういった批判をすべきだろう。実際に数字を確認してみると、"ボールを持ちすぎる"というのは的外れな批判であることがわかる。
どれだけ前にボールを運んで行ったかを示す指標として、OptaがProgressive ball-carriesと呼ぶものがある。
基本的に、プレッシャーが少なく、前にスペースがありがちなディフェンダーの数値が高くなる傾向がある指標であるが、このProgressive ball-carriesでグリーリッシュはトップスコアラーになっている。彼のスコアは1268.9Mで、2位はリーズ所属でディフェンダーのルーク・アイリングの1224.9Mである。2位から5位までがディフェンダー陣に占められており、5位が1043.5Mであることを踏まえると、彼が他のミッドフィルダーやフォワードと比較して、特異なスキルを持っていることがわかる。
単純に前に運んでいるだけでなく、フィニッシュに結び付けているのがグリーリッシュの特徴である。そういったボール運びの結果として、トータル9回のシュート機会をつくっており、これもプレミアリーグトップである。
ボールの受け手としてのグリーリッシュのパフォーマンス
ボールを持つことで成果を出し続けるだけでなく、オーリー・ワトキンス、ロス・バークリー、ジョン・マッギン、マット・ターゲットなどとのコンビネーションも今シーズンのグリーリッシュの特徴である。チームメイトとの連携の中でシュートにいたった流れにどれだけ絡めているのかをみると、グリーリッシュは51回に関係しており、全体の3位である。実際にこれらの選手が全員出場した5試合の中で3試合で、彼らが一番パスを出した選手がグリーリッシュであった。
結果、敵陣のボックス内でのタッチ回数も多くなる。
昨シーズン、1試合平均して4回であった敵ボックス内でのボールタッチ数が、今シーズン、平均して10回と大幅に増加している。ちなみに総計でみると70回の2位となっている。(1位はリバプールのモハメド・サラーの85回、3位はマンチェスターシティのラヒーム・スターリングの60回である)
アシストの出してとしてのグリーリッシュのパフォーマンス
ボールを前に運び、多くの選手からのパスの受け手にもなっているグリーリッシュ。パスを受けてのアウトプットの質も高く、期待アシスト(expected-assists)は、リーグトップの2.06で、実際に現在までに4ゴール、5アシストの結果を残している。
ブレンダン・ロジャーズのグリーリッシュ評
"彼がボールを運ぶ時のスペースの把握の仕方を見ると、彼がどれほどの選手なのかがよくわかるよ。彼はスペースがどこにあるかをよく理解していて、タックルをよく受け、他の選手よりもボールを長く保持し、ファールを受けるんだけど、そうすることで相手選手を、その選手のポジションから引きはがすんだよ"
彼がなぜ、他の選手よりもボールを保持し続けるのかの一旦がここにある。彼がボールを持つことで、相手側を動かすことになって、結果スペースが生まれていくわけだ。
グリーリッシュは、味方選手の位置も確認して、いい位置にいなければ無駄にパスを出すようなことはせず、ボールを保持し続けることで、相手選手を引き出してスペースを作っている。
そうやってボールを持ちづけると、結果ファールをうけることにもなるが、その場合でも、セットプレイなど新しい形で得点機会を作ることになる。
実際彼はプレミアリーグで最もファウルを受けている選手である。(昨シーズンから現在まで)