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第6節のウルブス戦。このゲームが今シーズンのニューカッスルの典型的な戦い方を示しているかもしれないと英Sky Sportsがデータを交えて今のニューカッスルを分析している。

固く守って、後半80分まで0-0のイーブン。80分までの5分間の間に5本のシュートを打たれて得点を許すことになったが、最後の最後、ウルブスのキーパー、ルイ・パトリシオの不注意な壁への指示もあり、89分にヤコブ・マーフィーがフリーキックを決めて、結果1-1のドロー。ロスタイムであり得ないPKをもらったスパーズ戦と比べれば妥当な結果に見えた試合でもあった。

お世辞にも「楽しい試合」とは言えない試合でもあったが、ブルースは勝ち点をどうやってとるかは気にしてないだろうし、チームとしてうまく機能しているように見える。

ジェフ・ヘンドリックとミゲル・アルミロンは、この試合でそれぞれ12キロ走っているし、この試合が移籍後のリーグ初試合となったライアン・フレイザーも途中交代がなければ、2人の記録を超えていたかもしれない。

本来攻撃を好む選手たちが、よく走り、よく守るのが今のニューカッスルといえよう。ボトムハーフにいるとはいえ、マンチェスターユナイテッドより上で、その下に多くのチームを従えている現状も悪くないとはいえるだろう。

「ここ数年のいつも通りのニューカッスル」ともいえる彼らのパフォーマンスを数字で振り返ってみよう。※基本2019/20シーズンの数字をもとにしてている。

ニューカッスルは深く守るチーム

Hight turnoversという指標がある。敵陣の40m内で、流れの中で自チームが相手方からゴールを奪ってプレイを始める回数を指す(つまり高い位置でプレスをかけてボールを奪って攻撃を仕掛ける回数)が、ニューカッスルは106で最下位であった。ちなみに1位はマンチェスターシティで254となっている。つまり高い位置でプレスをかけるのがスタンダードになっている現代のトレンドとは異なる傾向を示している。

ニューカッスルは自陣で1プレイが完結するチーム

結論としては、High turnoversと同じ話だが、Pressed sequenceという指標がある。1プレイの中で、敵を3つ以下のパス数におさえ、なおかつそのプレイが敵陣の中で抑えられているかを表している。つまり、敵にボールを持たれたとしても、それが敵陣の中であり、あまりパスをさせずに攻撃を終わらせているかを表すが、ニューカッスルはこの数字でも344で最下位になっている。こちらはトップはリバプールで678となっている。

ニューカッスルは敵によくボール回しをさせるチーム

自チームのディフェンス時に、相手がポゼッションを持って、相手陣内のゴールに近いエリアでどれだけのパス回しを許しているのかをみるPPDAという指標がある。つまり相手にどれだけディフェンスラインから攻撃を組み立てさせているかを表しているが、この数字ではニューカッスルは19.5で一番高い数字を記録している。(つまり相手に深い位置でパス回しをさせている)この数字が一番少ないのはレスターで9.5である。

ニューカッスルは攻撃時に長い距離を走るチーム

ニューカッスルは自陣深く守って守備をするチームである。そうすると当然攻撃時に敵陣まで長い距離を走らなければいけなくなる。実際、攻守が切り替わった攻撃時の1プレイごとにチームがどれくらいの距離を走っているのかを見ると、ニューカッスルは15.63mでプレミアリーグで最長になっている。これも逆でみるとチェルシーの10.8mが最短である。こうやってみると、アラン・サン=マクシマンのようなボールを運べるドリブラーがニューカッスルでいかに有効なのかがうかがえる。

以上、こうやって数字でふりかえると、手堅い試合をしているともいえるが、ニューカッスルの手堅さを最も顕著に表してる数字がある。

再昇格のシーズンの勝ち点は44。次の年は45.昨シーズンは44。平均すると1試合あたり、1.17ポイントである。今年の成績も想像できてしまいそうな数字である。

スティーブ・ブルースは就任1年である。コロナの影響も含めるとチームを作り上げるには十分な期間ではないかもしれないが(1年でチームを改善させた事例はいくらでもあるとはいえ)、今シーズンは、優秀なストライカーのカラム・ウィルソンや一時はアーセナルへの移籍を噂された元ボーンマスのウィンガー、ライアン・フレイザー、ノリッチから獲得した若手注目株の左サイドバックのジャマル・ルイスなど期待を持たせるに十分な補強をしてきており、自然ファンの期待も高まっているはずである。

しかしながら、先日のウルブス戦(もっといえば、その前のスパーズ戦など含めて)をみると、「いつも通りのニューカッスル」に終わるかもしれない。

ニューカッスル・ユナイテッド移籍情報