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先日のエバートン戦、相手GKジョーダン・ピックフォードの無謀はタックルで大けがをおったファン・ダイク。今シーズンの復帰は難しいと見られている中、ユルゲン・クロップは難しいかじ取りを迫られている。

現状、シニアチームで、セントラルディフェンダーが本職なのは、ジョー・ゴメスとジョエル・マティップの2人のみである。守備的ミッドフィルダーが本職であるファビーニョもディフェンダーとして一定のクオリティを示しているが、それでも駒不足であることは否めない。

クロップは、必要であれば安易に移籍による選手獲得に頼らず、ビッククラブの中でも若手を積極的使う監督ではあるし、ここ数試合の試合状況をみると、移籍市場での大きな投資も必要ないかもしれない。しかし主力たるべきマティップは、昨シーズンから数えてもプレミアリーグで90分フルで活躍したのはたったの8試合であり、まだまだ不安も残る。

ゴメス、マティップ、ファビーニョをベースに、若手を組み合わせたディフェンスラインでどこまでいけるかによって、リバプールの移籍市場での動き方も変わってくるだろうが、当然リクルートのチームは、問題が発生する前から、しかるべき準備をしているだろう。

スポーツメディアのThe Athleticでは、リバプールが今後本当に補強が必要になったとき移籍市場で狙っていくだろうディフェンダーを紹介している。

The Atheleticでは、smarterscoutというサッカーのデータ分析サイトが提供がしている選手の評価指標をもとに選手を選別、評価している。

smartscoutでは空中戦や地上でのデュエルの強さ、タックル、前方へのパスなどの指標をテレビゲームのように0-99のスコアを設定、多角的に選手を評価できるようになっている。もちろんデータは実際の試合を元にしているのだが、smartscoutが特徴的なのは、たとえばデュエルの評価にしても、それぞれの相手のクオリティを加味しての評価になっているところだ。たとえば、ディフェンダーが空中戦でピーター・クラウチに勝ったら通常より高いスコアを設定、同じく空中戦でレオ・メッシに勝ったとしても、高い評価は加えない形で、より現実のシーンを踏まえた評価がされているようだ。

オザン・カバク [Ozan Kabak]

20歳になるカバクは、現在ブンデスリーガのシャルケに所属するトルコ代表のディフェンダーである。185cmで特別に長身というわけではないが、スカウトの中では「トルコの壁」といわれているらしく、地上でも空中戦でもデュエルに強いといわれている。

いまのリバプールのディフェンダー陣と比較して、カバクはオープンプレイの中でのヘディングは51とは平凡な数字となっている(ゴメスは64、マティップは98。)一方で、タックルに関してはファン・ダイクと大きな差がなく、ファン・ダイクが80に対して、カバクは78である。

またカバクは積極的なディフェンダーで、必要に応じてバックラインから積極的にボールを取りに行くタイプのディフェンダーで、リバプールのディフェンダーの必要条件であるボール扱いも非常にうまい。ボール保持には課題がないわけではないが弱冠20歳にカバクの評価をそれほど下げるものでもないだろう。

元々、マンチェスターユナイテッドやユベントスからも注目されていたようだが、カバク自身は、ビッククラブで得られるお金よりも、自らの成長のため、試合時間が確保されるクラブを選択するなど、若いながらもメンタル面でも安定しているようだ。

ダヨ・ウパメカノ [Dayot Upamecano]

ウパメカノは非常に評価が高いライプツィヒのディフェンスラインのコアとも行くべき存在である。またヨーロッパ全体で見てもウパメカノは若手のディフェンダーのベストの一人と評価されている。

ゴール機会の創出に特に優れており、ボールを前に持っていくことにも長けている。結果、彼がボールを前方に持っていくことによるxGが93と非常に高い。1on1にも長けているが、空中戦ではオープンプレイのほうが、セットプレイよりも優れている。21歳であることを考えると、セットプレイの空中戦に長けたチームに行けば、さらなる成長が期待される存在である。

Statsbombによると、ボールを持っている相手プレイヤーに対してプレッシャーをかけた回数では、ウパメカノは、センターバックとしてヨーロッパの5大リーグのトップ10%に入るという。(90分あたり12.2。マティップは8.2、ゴメスは6.7、ファン・ダイクは3.5)

ウパメカノはマティップの代役として期待できるかもしれない。両者とも90分間で、チームを前方に動かせたパスの本数がセンターバックの中でトップ10%に入る。また両者ともボールをドリブルで前方にもっていくスコアが高い。(ウパメカノが95、マティップが94)

ベン・ホワイト [Ben White]

23歳のベン・ホワイトは長くリバプールが注目している選手の一人だが、3,500万ポンド近くの移籍金はコロナ下のリバプールにとって法外であったようで、夏の移籍ではディフェンダーの補強が行われることはなかった。

現所属のブライトンでの活躍もあって、まだリバプールのリストの中には入っていると思われるベン・ホワイトだが、数字でみるるとやや見劣りする結果となった。

タックルは22(マティップは58、ファン・ダイクは80)、セットプレイでのヘディングは20(マティップは97、ファン・ダイクは85)、オープンプレイでのヘディングは22(マティップは98、ファン・ダイクは94)となっている。

彼の強みはボールポゼッションにある。それが顕著に現れたのはビエルサのリーズにローン移籍していた19/20シーズンである。ボール保持、バックラインからのつなぎのプレイ、自身でボールを前に持っていくスキルなどはいずれも高い数値を記録している。またビエルサの積極的なプレス戦術もあって、タックルやブロック、クリアなどで相手チームの進出をとめたプレイの数値が高くなっている。

グラハム・ポッター指揮するブライトンにローンバックしてからは、自ら前にボールをもっていく数は減っていき、一方で前へのパス本数は増えている。

コナー・コーディー [Conor Coady]

リバプールのユース出身のコナー・コーディーはファンには人気となるかもしれない。元々ミッドフィールダーであったがブレンダン・ロジャーズ時代のリバプールで戦力外となっが、ウルブスのディフェンスラインの中心であり精神的支柱でもあるコーディーは、今やプレミアリーグを代表するセンターバックとなり、イングラド代表にも選ばれている。

だたウルブスで3バックの真ん中を務めるコーディーは数字でみるとオープンプレイでのヘディング以外は控え目なものとなっており、タックルでは34、セットプレイでのヘディングでは22、オープンプレイでのヘディングで61である。

空中戦の数が少なく、敵の動きを止める動きもルーズボールを回収する動きのスコアも極めて低い。

一方でロングパスでみると、昨シーズン最初から見た時の成功率は62%になっており、同じポジションの中でみると上位5%に入っている。

グレイソン・ブレメール [Gleison Bremer]

最後に、Athleticが自らsmartscoutのデータを分析した結果として挙げたのが、現在トリノに所属するブラジル人のグレイソン・ブレメールである。(Athleticによるとリバプールでは選手のリストアップにあたって一定の基準があり、原則26歳以下、対象はヨーロッパの5大リーグかチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに出場していることだそうだ。またボール扱いが上手で高いレベルでポゼッションできること、それを前に持っていけることも条件になる。あとは、デ・リフトのように明らかな対象外は除かれる)

ブレメールは、2018年にブラジルのアトレティコ・ミネイロからトリノに移籍している。守りに特に強いディフェンダーでポゼッション能力に関しては、リバプールの基準に合わないかもしれないが、23歳のブレメールはその辺は成長の余地があるともいえる。

彼の本領は、ゲームを読む能力で、積極的なインターセプトにある。それを示す値は92となっている。(マティップとほぼ同値)オープンプレイでの空中戦は平均的で、セットプレイでは平均を劣る。一方でタックルが非常につよく、リバプールのどのディフェンダーよりも優れている。

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