2019年11月、不調にあえいでいたトッテナムはファンに愛されていたMauricio Pochetinoを解任し、Jose Mourinhoを新しい監督に据えた。ファンはもちろん、イングランドのサッカー界に大きな驚きをもたらした。一見トッテナムのスタイルやカルチャーとマッチしなそうなこの人事は、2008年以来遠ざかっている優勝トロフィーをなんとしても手に入れたいと思うDaniel Levyの思いを形にしたものだろう。
前任のUnitedやその前のチェルシーの結果を受け、Mourinhoの手腕を疑問視する声も少なくないが、イギリスのGuardian紙が、過去にモウリーニョの指導を受けた選手の声として、「なぜモウリーニョはスペシャルなのか」を紹介している。
Amantino Mancini (Internazionale, 2008-10)の声
- 誠実であり、ちゃんと人の顔をみて話すんだ。
※ほめるときも、叱るときも直接話をする。
※Manciniの場合、戦力外となった時も直接モウリーニョから伝えられた。 - 選手の能力を最大限引き出せる人だと思うよ。
- もっとも印象的だったのは、戦術的な用意周到さ。
※いつも自チームの選手はもちろん、対戦相手のことを完璧に把握しており、いつも的確な指示を出していた。
とあるチャンピオンズリーグでのパナシナイコスとの一戦で、前半でチームは2-0で勝っていて、Manciniもゴールを挙げていたが、モウリーニョは彼を呼び、「最悪だぞ、しっかりしろ、ゴールを挙げたから仕事が終わりだなんて思ってないよな?」といったという。
Nuno Valente (União Leiria, 2001-02 and FC Porto, 2002-04)の声
- 非常に勤勉で、戦術的に優れているんだ。
- 話に説得力があり、選手たちに「この人となら優勝できる」と信じさせることができる。
- やらなければいけないと思った時には、人前でも躊躇なく選手を批判するんだ。ただ90年代とは選手のメンタリティも変わっているため、最近では時折選手と衝突することもあるんじゃないかな。
- 人としても監督としても、印象的な人で、トッテナムの選手もきっと気に入るだろう。
- Pochetinoはいい仕事をしたが、モウリーニョがラストピースとなって、トッテナムは優勝をするチームになっていくだろう。
Álvaro Arbeloa (Real Madrid, 2010-13)の声
- 印象に残っているのは、ロサンジェルスでのプレシーズン。2-0で負けていた僕らはモウリーニョにこっぴどく怒られたんだ。その時の彼は、その相手がスーパースターだろうが誰だろうかお構いなしだったよ。選手全員が等しくあつかわれていたんだ。彼がどういう人なのかがよくわかった瞬間だったよ。トッテナムの選手も、モウリーニョからの要求を目の当たりにしたときに、それを理解すると思うよ。
- 彼は綿密に準備して試合に臨む人なんだ。そのおかげで選手は試合をする際、自分がなぜ「このシステムで試合をするのが」、「なぜこのチームメイトと今日一緒にプレイするのか」、「試合の中で何をすべきなのか」、「彼がチームの何を強化しようとしているのか」、「彼がどうやって相手チームの弱点をみつけようとしているのか」をちゃんと理解することができるんだ。モウリーニョは明確なゲームプランを持っているので、選手は自分たちのミッションを明確して試合に臨めるんだよ。
- 試合を読むことにも長けていたね。ハーフタイムに個々の選手の問題点やチームの問題点、相手チームの状況、何がうまくいっていて、何がダメなのか、どうやってそれを変えるべきなのかをちゃんと理解しているんだよ。この点に関しては、彼が世界一だと思うよ。
- 彼のチームは、とても、とても、とても組織化されているんだ。ポゼッションを好まず、素早く速く相手ゴールに迫るんだ。ダイレクトに、素早く、相手ゴールに迫る、そんなスタイルだね。トッテナムには、AlliやSon、Kane等の選手がいて、彼のスタイルにとてもフィットすると思うよ。
- マンチェスター・ユナイテッドではうまくい行かなかったけど、彼は自分の力を証明しようと、今までと同じように高いモチベーションで、仕事に取り組むと思うよ。
Esteban Granero (Real Madrid, 2010-12)の声
- 彼とは2年間にわたり一緒にいたけど、僕がいままで一緒にいた監督の中では彼がベストの監督だったよ。
- 選手が持ってる力を最大限発揮させることができるんだ。
- 組織を大事にする一方で、柔軟性もあったと思うよ。
- 選手にその最大限を要求する一方で、必要な時、選手を守ってもくれる人なんだ。
- 彼は「勝利者」だと思うけど、それはメダルの数だけの話ではないんだ。選手に強い影響力を残していく人なんだ。