フランク・ランパードが、解任されたラファエル・ベニテスの代わりにエバートンの監督に就任したのが2022年1月末のことである。
以来、低空飛行を続けながらもランパードは最終的にエバートンをプレミアリーグ残留に導いた。
1試合平均1.11ポイント苦しみながらも、最低限の結果を残したフランク・ランパード監督率いるエバートンは、いかなる戦術・フォーメーションで残留を確保していったのだろうか。
エバートン スタメン
ポジション | 背番号 | 名前 | 国籍 | 生年月日 | 身長 | 先発 | 途中出場 | ゴール | 前所属 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GK | 1 | ジョーダン・ピックフォード [Jordan Pickford] | イングランド | 1994/3/7 | 185cm | 35 | 0 | サンダーランド | |
DF | 5 | マイケル・キーン [Michael Keane] | イングランド | 1993/1/11 | 191cm | 32 | 1 | 3 | バーンリー |
DF | 22 | ベン・ゴッドフリー [Ben Godfrey] | イングランド | 1998/1/15 | 183cm | 23 | 0 | ノリッジ | |
DF | 13 | ジェリー・ミナ [Yerry Mina] | コロンビア | 1994/9/23 | 195cm | 13 | 2 | バルセロナ | |
DF | 4 | メイソン・ホルゲイト [Mason Holgate] | U-21イングランド | 1996/10/22 | 184cm | 25 | 2 | 2 | |
DF | 23 | シェイマス・コールマン [Seamus Coleman] | アイルランド | 1988/10/11 | 178cm | 30 | 0 | 1 | スライゴ・ローヴァーズ |
DF | 3 | ネイサン・パターソン [Nathan Patterson] | スコットランド | 2001/10/16 | 189cm | 0 | 0 | レンジャーズ | |
DF | 19 | ヴィタリ・ミコレンコ [Vitaliy Mykolenko] | ウクライナ | 1999/5/29 | 180cm | 13 | 1 | 1 | ディナモ・キエフ |
MF | 16 | アブドゥライェ・ドゥクレ [Abdoulaye Doucouré] | 元フランス | 1993/1/1 | 183cm | 30 | 1 | 2 | ワトフォード |
MF | 30 | ドニー・ファン・デ・ベーク [Donny van de Beek] | オランダ | 1997/4/18 | 184cm | 15 | 10 | 2 | マンチェスター・ユナイテッド |
MF | 21 | アンドレ・ゴメス (André Gomes) | ポルトガル | 1993/7/30 | 188cm | 14 | 7 | 0 | バルセロナ |
MF | 6 | アラン (Allan) | ブラジル | 1991/1/8 | 175cm | 28 | 3 | ナポリ | |
MF | 8 | ファビアン・デルフ (Fabian Delph) | イングランド | 1989/11/21 | 174cm | 11 | 3 | 0 | マンチェスター・シティ |
MF | 38 | デレ・アリ (Dele Alli) | イングランド | 1996/4/11 | 188cm | 21 | 12 | 1 | トッテナム |
MF | 14 | アンドロス・タウンゼント (Andros Townsend) | イングランド | 1991/7/16 | 181cm | 21 | 4 | 3 | クリスタル・パレス |
FW | 11 | デマレイ・グレイ (Demarai Gray) | イングランド | 1996/6/28 | 180cm | 34 | 6 | 5 | レスター |
FW | 17 | アレックス・イウォビ (Alex Iwobi) | ナイジェリア | 1996/5/3 | 180cm | 28 | 6 | 2 | アーセナル |
FW | 24 | アンソニー・ゴードン (Anthony Gordon) | イングランド | 2001/2/24 | 173cm | 35 | 10 | 4 | |
FW | 7 | リシャルリソン (Richarlison) | ブラジル | 1997/5/10 | 184cm | 32 | 2 | 10 | ワトフォード |
FW | 9 | ドミニク・キャルバート=ルーウィン (Dominic Calvert-Lewin) | イングランド | 1997/3/16 | 187cm | 17 | 2 | 5 |
今シーズンのエバートンのフォーメーションパターン
エバートンのフォーメーション別パフォーマンス
4-4-1-1フォーメーション | 11試合3勝5敗3分け |
4-4-2フォーメーション | 6試合1勝5敗 |
5-4-1フォーメーション | 6試合2勝2敗2分け |
4-3-3フォーメーション | 6試合1勝4敗1分け |
3-4-3フォーメーション | 3試合1勝2敗 |
4-2-3-1フォーメーション | 3試合2勝1敗 |
3-4-2-1フォーメーション | 2試合1勝1敗 |
4-1-4-1フォーメーション | 1試合1敗 |
ポゼッション時のエバートンのフォーメーション・戦術
ポゼッション時、エバートンのフォーメーションは、3-4-3の形をとる。キャルバード=ルーウィンやリシャルリソンという空中戦に強い選手がいるエバートンは、ボールをもつと、まずは、すばやくファイナルサードにボールを運ぶ。
空中戦に強い一方で、深い位置からのビルドアップに苦労することが多かった。下図の形で典型的にみられるように、相手チームに簡単にマークにつかれてしまい、適切にピボットの役割を果たす選手がいないこともあり、下からビルドアップや、短いパスをつなぎながらの攻撃を苦手としていた。加えてセンターバック間の連携もよくなかった。
そのことを踏まえランパードは、ロングボールを主体とすることで、中盤を省略し、相手のプレスを避けながら攻撃を行っていった。
無論、時間やスペースに余裕がある時は、ゴールキーパーからセンターバックにボールを渡しながら、ビルドアップすることもあるが、足元に難があるエバートンのセンターバック陣相手に、相手チームがハイプレスをかける事が多く、結果時間をかけてのビルドアップは減っていくことになる。
ランパードは、両ワイドにウ ィングを置く形を好んでおり、シーズン後半だと、獲得したばかりのヴィタリー・ミコレンコやアーセナルから移籍してきたアレックス・イウォビがウィングバックとして配置されていた。
たとえば下記のようにミコレンコがグレイをオーバーラップしていくが、彼やイウォビが両ワイドでコンビネーションすることで、フィジカルに強いFW陣を中央を中心に自由に動けるようにしつつ、逆にFW陣が中央にいることで、ウィングバック陣の前進を促す形になっている。
そうすると、ウィングバックから足元が強いFW陣にパスが供給されつつ、空いたスペースにまたウィングバックが走り込んでいく。
FW頼りの攻撃となるため、結果的にクロスをあげることが多くなり、ウィングバックも深い位置から積極的にクロスをあげ、それを契機に中盤の選手も含めて、攻撃陣がボックス内に突入していく。
そのような戦術をとるエバートンは、キャルバード=ルーウィンが怪我で離脱したことで不振に陥ることになる。
非ボゼッション時のフォーメーション・戦術
非ボゼッション時、ランパード監督率いるエバートンは、状況やボールの位置に応じて2つのパターンをとる。
高い位置でディフェンスする時は、エバートンは3-4-3フォーメーションを維持し、3枚の前線は相手中盤へのパス供給の邪魔をする。
ディフェンスラインにはプレスをかけず、3-4-3の形を維持したまま守備を固める形をとることで、よりクリティカルなエリアでのボール奪取に専念できるようにする。
過去のエバートンは、どちらからというとボールを支配するようなプレーをすることが多かったが、ギリギリの降格争いをしている状況で、ランパードはより保守的な形をとって、簡単に破れれないようにしつつ、前線で激しいプレスをかけないことで、余力を残すアプローチをとっていた。
プレーがエバートン側の深い位置に来た時は、深めの位置でディフェンスのフォーメーションをとる。この時は、5-4-1となり、お互いが近い位置をとり、規律を持ってコンパクトにスペースを埋めていく。
このアプローチのキーとなるのは、ドゥクレで、規律ある動きとピッチの幅広いエリアを押さえるフィジカルで、5バックと4バックの間で、相手チームの危険なエリアへのパスの芽を詰んでいった。
この時ストライカーは、高い位置で孤立する形にはなるが、相手チームの比較的高い位置からのファイナルサードへのパスを防ぐ役割を持っている。
この役割は、通常リシャルリソンが受け持ち、積極的に上下動し、場合によっては、中盤までさがっていき、5-5-0のような形をとることもあった。リシャルリソンの献身的な動きが、相手チームのビルドアップを潰すことに貢献していた。
オフザボール時、ランパードは、相手選手へアグレッシブにアプローチすることを求めており、状況に応じてディフェンダーにも基本マークしている相手について行くように指示しており、場合によっては中盤近くまで上がってしまうこともあった。
当然、スペースを生むリスクがあったが、結果的にはボールを奪ったり、相手の攻撃を遅らせることに貢献することになる。
攻撃への移行時のフォーメーション
ランパードのエバートンが採用したディフェンスのアプローチだと、当然前線への枚数が少なくなる。
攻撃への移行時、前述のように通常リシャルリソンが前線にたっているが、彼がボールを持った場合、周りにサポートがないため、まずは素早く前方へのドリブルを開始する。降格争い中のエバートンはあまりリスクを追わずに少ない枚数で攻撃を組み立てていく。
実際、攻撃時のスルーパスの数はリーグでも最下位に近い位置にいる。
ファーストチョイスはドリブルで、素早く前方にボールを運ぼうとする。そうすることで、ドリブルで相手をかわせた場合には数的に有利な状況を生み出せる。
これは数字上にも現れており、エバートンはプレミアリーグで90分以内の1対1でのドリブルの数が最も多いチームの一つでもある。
ディフェンスへの移行時のフォーメーション
前述のようにディフェンス時に、相手選手にアグレッシブにアプローチすることを求めるエバートンは、ボールを奪われる状況によっては、相手チームに攻撃へのスペースを生み出すリクスも負うことになる。
基本的にボールを奪われた場合は、カウンタープレスで対応していくが、奪われ方が悪いと、時間も、選手も足りない状況となり、危険な状況を作られることになった。
プレミアリーグ 移籍情報
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- ウォルバーハンプトン・ワンダラーズの移籍情報
プレミリーグ順位表
順位 | チーム名 | 勝点 | 試 | 勝 | 引 | 負 | 得点 | 失点 | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | マンチェスターC | 93 | 38 | 29 | 6 | 3 | 99 | 26 | 73 |
2 | リバプール | 92 | 38 | 28 | 8 | 2 | 94 | 26 | 68 |
3 | チェルシー | 74 | 38 | 21 | 11 | 6 | 76 | 33 | 43 |
4 | トッテナム | 71 | 38 | 22 | 5 | 11 | 69 | 40 | 29 |
5 | アーセナル | 69 | 38 | 22 | 3 | 13 | 61 | 48 | 13 |
6 | マンチェスターU | 58 | 38 | 16 | 10 | 12 | 57 | 57 | 0 |
7 | ウェストハム | 56 | 38 | 16 | 8 | 14 | 60 | 51 | 9 |
8 | レスター | 52 | 38 | 14 | 10 | 14 | 62 | 59 | 3 |
9 | ブライトン | 51 | 38 | 12 | 15 | 11 | 42 | 44 | -2 |
10 | ウルブス | 51 | 38 | 15 | 6 | 17 | 38 | 43 | -5 |
11 | ニューカッスル | 49 | 38 | 13 | 10 | 15 | 44 | 62 | -18 |
12 | クリスタル・パレス | 48 | 38 | 11 | 15 | 12 | 50 | 46 | 4 |
13 | ブレントフォード | 46 | 38 | 13 | 7 | 18 | 48 | 56 | -8 |
14 | アストン・ヴィラ | 45 | 38 | 13 | 6 | 19 | 52 | 54 | -2 |
15 | サウサンプトン | 40 | 38 | 9 | 13 | 16 | 43 | 67 | -24 |
16 | エバートン | 39 | 38 | 11 | 6 | 21 | 43 | 66 | -23 |
17 | リーズ | 38 | 38 | 9 | 11 | 18 | 42 | 79 | -37 |
18 | バーンリー | 35 | 38 | 7 | 14 | 17 | 34 | 53 | -19 |
19 | ワトフォード | 23 | 38 | 6 | 5 | 27 | 34 | 77 | -43 |
20 | ノリッジ | 22 | 38 | 5 | 7 | 26 | 23 | 84 | -61 |