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アーセナルのトップ4圏内進出の立役者ともいえる活躍をみせたアレクサンドル・ラカゼットが現在不振に陥っている。

ラカゼットは今シーズン、プレミアリーグで4ゴールにとどまっており、彼の直近のパフォーマンスの低さと相まって、アーセナルの前線への変化を望む声も日に日にたかまっており、ラカゼットがレギュラーであることの批判が高まってきている。

今回は、英SKYSPORTSが報じるところを参考に、ラカゼットがアーセナルにもたらしている価値を分析するとともに、彼自身、そしてアーセナルの不振の理由を明らかにしていきたい。

名前アレクサンドル・ラカゼット
Alexandre Lacazette
所属アーセナル
背番号9
ポジションフォワード
生年月日1991/3/28
身長175cm
国籍フランス
利き足
個人タイトル14-15シーズン、リーグアン得点王、リーグアン最優秀選手

ラカゼットの少ないゴール数

ラカゼットは、直近11試合で1ゴールにとどまっており、シーズン全体でも25試合で4ゴールしかあげられていない。3月中旬以来、枠内シュートすらなく、12月からは流れの中からのゴールがない。

ラカゼットがもたらしていた価値

一方で、最近までは、ゴール数の少なさは、その他の面でカバーされていた。

2021年12月6日から2022年3月13日までの間でみると、ラカゼットは7アシストを決めており、これはプレミアリーグトップである。彼がトップから下がってきて、ボールを受け、左右の選手にボールを供給していくプレーは、オバメヤンがチームから去った後に、アーセナルが数シーズンぶりのチャンピオンズリーグ出場権争いを続ける中で重要な役割を果たしている。

典型的なのが、3-2で勝利した3月のアウェイのワトフォード戦で、この試合で本領発揮したラカゼットは、タイミングよく中盤におりて、前線のブカヨ・サカとガブリエウ・マルティネッリそれぞれにパスを供給し、かれらの得点を演出している。次のレスター戦では、2-0で勝利したが、ラカゼットはペナルティでゴールを決めている。

ラカゼットの不振の始まり

しかしながら、それ以降アーセナルは4戦中3敗となり、ラカゼットのパフォーマンスも下降線をたどることになる。

前述のように、他のプレイヤーを活かすプレーをし続けることで、得点の少なさをカバーしてきたラカゼットであったが、ブライトン戦では、それすらもみられなくなった。

この試合では、枠内シュートゼロで、タッチ数は22、パスは8と先発した選手の中で最低となっている。彼の不振はブライトン戦以前からみられたことで、クリスタル・パレス戦、アストン・ヴィラ戦、リバプール戦でも、彼は存在感を急激になくしている。

90分内でのシュート数も2.8から1.6になり、生み出すチャンスの数もほぼ半分になり、ボールタッチやパスの数も3分の1にまで落ち込んでおり、ゴール前でのプレーも減っている。

21/12/6 - 22/3/13指標22/3/14 - 22/4/9
12試合数4
3ゴール0
7アシスト0
35.2タッチ数24.8
21.3パス数14.1
2.8シュート数1.6
1.7チャンスメイク0.8
6.3相手ボックスでのタッチ3.5
SKYSPORTSの記事を参考に作成

読まれはじめたラカゼット

最初は、中盤に降りての彼のプレーは相手を迷わせることができていたが、次第に相手にも読まれるようになり、クリスタル・パレス戦では、試合後、パレスの監督のパトリック・ビエラが名指しで、ラカゼットへの対策を述べたほどであった。

"我々は、ディフェンダーが自分のポジションを離れても、特にラカゼットへのプレッシャをかけようとしていたんだ."

ブライトンも同様な戦術をとったし、その前のリバプールも、破れはしたもののアストン・ヴィラも同じである。

ラカゼットは、いまだに中盤におりてこようとするが、もはや以前のようなスペースをもらえなくなり、結果アーセナルにおける攻撃の流動性が大きく損なわれることになった。

疲労も重要なファクターだろう。

アルテタは、常々、ラカゼットのオフザボールの動きを称賛しつづけてきたが、ここ数ヶ月間、精力的な動きをつづけてきたことで、疲労の蓄積が形になって現れ始めたのかもしれない。

実際、90分プレイした場合、以前は平均10km以上の走行距離があったが、直近のプライトン戦、クリスタル・パレス戦では、10kmを下回っている。

これは、来月31歳をむかえるラカゼットには、そもそも以前と比べて負荷の高い動きを続けてきたことも踏まえると、致し方がことないだろう。また、オバメヤンがチームをさったあと、彼は16試合連続で出場しているが、これはアーセナルに加入してからの最長記録でもある。

最前線の改善が必要なのは、明らかであるが、ラカゼットを簡単に変えることが難しいのがアーセナルの現状である。

元々冬の移籍で、フィオレンティーナからブラホビッチの獲得をねらっていたが、ユベントスに取られてしまった。チーム内でみても、エディー・ヌケティアぐらいしかかわりになるような選手がいないが、彼は今シーズン、プレミアリーグで一度も先発を果たしていない。左右のウィンガーのレギュラーであるマルティネッリやスミス=ロウをコンバートする案も考えられるが、彼らもこのポジションでの経験は浅い。

その上、すでに左サイドのキーラン・ティアニーと中盤のトーマス・パーティをケガで失っている現状で、さらに前線で新しいことを試す余裕もないだろう。

いずれせよ、改善が必要な状況はかわらず、しかもアーセナルに与えられた時間はそれほど残ってもいない。アルテタの真価が問われるフェーズに入ってきた。

アーセナル移籍ニュースまとめ


プレミアリーグ順位表

順位チーム勝点試合数得点失点得失点差
1マンチェスター・シティ74312353722052
2リバァプール73312272792257
3チェルシー62301884642341
4トッテナム・ホットスパー573118311563818
5マンチェスター・ユナイテッド5132159852448
6アーセナル54311731145378
7ウェストハム・ユナイテッド54331571152439
8ウォルバーハンプトンヴァーハンプトン・ワンダラーズ49321541333285
9レスター・シティ4030117124650-4
10ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン4032913102937-8
11ブレントフォード3933116164149-8
12サウザンプトン3932912113852-14
13クリスタル・パレス37318131040403
14ニューカッスル・ユナイテッド3732910133655-19
15アストン・ヴィラ3631113174246-4
16リーズ・ユナイテッド333289153868-30
17エバートン283084183352-19
18バーンリー2531413142645-19
19ワトフォード223264223062-32
20ノリッジ・シティ213156212266-44